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タッチングと傾聴の力

2008/11/04
今から数年前、ある病院でボランティアをしていたことがあります。
その病院は院内ボランティアに結構力を入れており、専属のボランティアコーディネーター
さんも働いていらっしゃるくらいでした。

私はそこで月に一回行われるリラクゼーションの会に参加し、足浴とフットトリートメントを
担当することになりました。
主に入院患者さん対象のものなので、薬理作用があって注意が必要な精油は使わず、
キャリアオイルのみで膝から足先までを行っていたのですが、皆さんとても喜んで下さり、
サロンで働いている時の接客とはまた全然違う充実感を覚えたものです。

そんな中、いつもの行事ボランティアとは別に、入院患者さんからの依頼があり、
個人的に病室を訪問してトリートメントを行うというパターン
も出てきました。
そこでの対象者は主にがん患者さんでした。

訪問する時はいつも、ナースステーションで
「患者さんの今日の体調はどうか?トリートメントを行っても問題ないか?」を確認し、
OKであれば病室を訪れて、手や足などのトリートメントを行っていました。

ここでは患者さんの希望があれば、お好きな精油をティッシュに垂らし、トリートメントと同時に
芳香浴も楽しん頂いたりもし、ちょっとだけアロマテラピー色も出せて嬉しかったです。

そんな数名の患者さんの中で、今も強く印象に残っている方がいらっしゃいました。

その方、Aさんは60代くらいの独身女性。
がんの再発に伴い入院、つい数日前から抗がん治療を始めたばかりで、
色々大変そうな時の依頼でした。

噂によれば、Aさんは病院側にとってはちょっと気難しく扱いにくい患者さんだとのことでした。
「生い立ちが複雑そうで・・・」なんていう、どこまで事実なのかわからないような話まで
耳に入ってきたので、最初は私も少し緊張しました。

でも実際に私と向き合った時のAさんは、ちっともそんな様子はなく、

目の前にいるのは、辛くて孤独で不安で心配で・・・
世界のすべてに怯えている一人の少女。


まるでそんな印象でした。


「3日前から治療を始めたのだけど、もう調子が悪くて・・・。」
「そうなんですか?大変ですね・・・。」


Aさんの辛さや愚痴を聴きながら、足のトリートメントを行っていると、
色々なものが込み上げてきたのか、いつのまにか涙を流され、
「ありがとう。ありがとう。」と、
こちらが戸惑うほど感謝の言葉を返してくださり、私も思わずもらい泣きしそうになりました。

そして・・・「さあ、これで終了しましたよ。」と声をかけると、
それまでベッドに横たわっていたAさんはムクッと起き上がり、

「あらっ、一人で起き上がれたわ!さっきより身体が軽くなったみたい!」

と、急に元気な様子になられたのです。
表情も始める前よりずっと明るくなられ、こちらもビックリ!
こんな経験は初めてで、自分のたったこれだけの行為でこんなに人の役に立つことが
できるなんて・・・と思うと信じられないものがありましたが、すごく嬉しかったです。

当然のごとくAさんはこの結果に喜ばれ、
この後も定期的にトリートメントを行うことになりました。
トリートメントを時々取り入れることによって、
治療に対しても前向きになってくれたような気がします。

2回目以降の時もこんな感想を受け取りました。

「いつも夜になると微熱が出るのだけど、足(のトリートメント)をやってもらった日の夜は
熱が出ないのよ。」


こんなことってあるのだろうか!?これもまた驚きです。


私がAさんに対して担当できたのは4回ほどでした。
自分が多忙になり、ボランティアを辞めることになってしまったため、他のボランティアさんに
引き継いでもらったのですが、この時の経験は何年経っても忘れられません。

ボランティアでは、サロンで健康な方に接するだけでは得られない、大切なポイントを
学ぶことができたような気がします。

病気を抱えている方は、Aさんだけでなく他の方も一様に色々なものと戦っています。
それは病気に伴う辛い症状だけでなく、大きな不安感や孤独感、恐怖・・・
こういう心理的なストレスも症状に負けないくらい強く抱えているもの。
ちょっとしたことに対しても敏感になって落ち込んだりしやすいのと同時に、
ちょっとした優しい行為にもまた、敏感に反応しやすくなっているようです。


・・・だから、返ってくる「ありがとう」のシャワーもまたすごいんです。
それはもう、降り注いでくる感じ。まさにシャワーなんです。

Aさんがたった20分間の足のトリートメントで変化したのは、恐らく・・・

お話(辛さの吐露)に耳を傾けることで、
私に対しての信頼感が生まれ、
信頼感が生まれることによって、「これはきっと良いものなんだ。」と身を委ねて
トリートメントを受ける体制が整い、
さらに“肌に触れて撫でる”というトリートメントの行為そのものが持つリラックス作用が
促されて、
自律神経系のバランスが整うよう上手く働いてくれた・・・
その結果に伴うものだったのではないかと今は思っています。

私はこの時の経験によって、ますますトリートメントに興味を持ち、アロマセラピストに
なりたいと、強く思うようになりました。
こうしてブログに綴っていると、あらためて縁あって出会ったこの病院にも患者さんたちにも
感謝の気持ちがこみ上げてきます。

今もクライアントさんと接する時の心構えとして、この時の経験が無意識のうちに
生きている気がしています。
私にとって本当に必要な経験のひとつでした。


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00:07 ◇タッチングと傾聴の力 | コメント(0) | トラックバック(0)
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